母と行動経済学

こないだ、有名塾講師が出てるテレビで

効用を考慮して確率的な事象の期待値を計算して

消費の選択をするという話があった

 

おお、こんなゴールデン

(からはちょっとずれてたかな)のバラエティで

期待効用論が紹介される日が来ようとは

21世紀だなあと思った

 

とはいえ、多分期待値っていう単語からし

みなさんにはとっつきにくかったようだけど

 

例が単純すぎたしね

人間、そんな単純にはいかないってね

 

 

そういえば

最近、複雑な人間の効用を垣間見た出来事があった

 

母と携帯電話を

契約しに行った時のことだ

 

母はもう還暦を過ぎていて

ネットも使わなければ

携帯電話も持っていなかった

 

かろうじてPHSを使っていたのだが

もうPHSもこの社会から消えるらしい

 

しかしぼったくりの大手3社と

スマホを契約するつもりはさらさらなかった

 

というわけで、通信量無制限のポケットルーター

タブレットを母にプレゼントし

今使っているPHSを通話のみの携帯電話に

機種変更しに行ったというわけだ

 

しかし、優柔不断な母

スマホに変えた方がいいのではと

迷ってばかりいた

 

通信量無制限のルーターを持っているのだから

なんだったら中古であいほんでも買おうと思っていた

ただ安定した通話はやはりキャリアとの契約が必須である

 

(1ヶ月あたりのおおよその値段)

  1.  通話のみのケータイ 1,000円
  2.  スマートフォン 2,300円 (2年目3,400円)

 

ふむ、これによると

1と2の差額は2年で44,400円

これは中古のあいほんを買っても

2万はお釣りが出る

1番で一択だろう

 

ただし、もしスマホを持つのなら

通話用+ネット用という2台持ちの面倒さがある

その負の効用(という言い方をしていいのか)に

2万を払うつもりかと母に問う

 

母は2台持ちの面倒さを選んだ

そもそもタブレットがあるのだから

スマホがなくてもいいとさえ考え至った

 

さて、通話のみのケータイに意思決定をし

色を選ぶのみとなった時

母がぽつりと言った

 

「パカパカがいい」

 

説明しよう

上記の「通話のみのケータイ1000円」とは

初期の携帯電話のようにまっすぐなデザインなのだ

 

母の言う「パカパカ」とは

2つ折タイプの「ザ・ガラケー」である

もちろん通話のみの携帯電話だ

このタイプは少々値が張ってしまう

 

嘘だろ

この後に及んでデザインとかいう

擾乱に弱い効用を出してくるなよ母ちゃん…!!

 

(改めての選択肢)

  1. 通話のみのケータイ(まっすぐ) 1,000円
  2. 【NEW!】通話のみのケータイ(パカパカ) 1,700円
  3. スマートフォン 2,300円 (2年目3,400円)

 

2と3の差額、2年で約2万円…

 

そりゃスマホにするでしょうよ

 

美しく推移律の矛盾が起きた瞬間だった

 

これ、もし通話のみのケータイが

まっすぐタイプしかなかったら

スマホを選んでなかったですよ

 

そうして、スマホに手帳型カバーをつけて

望み通り(カバーが)パカパカのケータイで

ルンルンな母上でしたとさ

 

人の選択は、経由する選択肢によって変わる

選ぶものの評価を

類似選択肢によって相対的に下げることによって

他の類似しない選択肢の評価を上げることができる

 

示唆に飛んだ出来事だった

ーーー飛んだ面倒事だったけれど!